派遣と出向は何が違う?それぞれの特徴を理解しよう!
近年、働き方が多様化しており、自分が所属している企業とは異なるところで働くという新しい流れが浸透しつつあります。中でも派遣や出向という形式がとられることが多く、一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。そこで、本記事では派遣と出向の違いやそれぞれの特徴について解説します。
「派遣」の特徴
派遣というのは、派遣元の企業と雇用契約を結び、別の企業に派遣されて就業するというものです。そのため、給与や待遇、雇用条件については実際に就業する企業のルールに従うのではなく、あくまでも派遣される前の企業のルールに準ずるのです。また、基本的にはスポット要員として依頼されることが多く、人材不足で悩んでいたり、即戦力を求めていたりなど、それぞれの企業のニーズに合わせて適した人材が派遣される仕組みです。また、法律内であれば、派遣期間を定めることができるので、必要な時期に応じて人材を採用できるという、企業にとっても大きなメリットがあります。
さらに、ひとつの企業で永続的に働き続けるのではなく、基本的には契約期間が終了したら、ほかの企業で就業するという仕組みになっています。そのため、派遣される企業によって、業務が異なるのが一般的でしょう。したがって、さまざまな経験を積むことができ、自身のスキルアップにもつながるといえます。
とはいえ、自らスキルアップのために資格取得をしたり勉強したりすることも大切です。とくに新しい業種や職種に挑戦する場合は、それぞれに合った必要なスキルを磨いたほうがよいでしょう。また、最近は英検などの語学関連の試験やMOSなどのパソコン関連の資格を取得しているかどうかによって、派遣される企業を決められることがあります。したがって、スキルアップを目指したい方は資格取得を目指したほうがよいでしょう。
「出向」の特徴
一方、出向とは所属している企業の別のグループ会社などで働くことを意味します。さらに、派遣との大きな違いは雇用関係が挙げられるでしょう。派遣の場合は派遣元企業と雇用関係を結びますが、出向の場合は出向先の企業と雇用契約を結ぶことから、ここに大きな違いがあります。
出向の場合は出向先企業と契約を結ぶので雇用条件などについても実際に就業する企業の規則に則ります。さらに、出向元では経験できないような新しいポジションで仕事できるので、キャリアアップを目指せるというメリットがあるでしょう。
派遣と出向の違い
派遣の場合は派遣元企業と契約を結ぶのに対して、出向の場合は出向先の企業と契約を結びます。ただし、出向については在籍出向か転籍出向かによって対応が異なります。在籍出向の場合、出向元との契約を維持しながら出向先で就業するので、派遣と同じような雇用関係になります。しかし、転籍出向の場合は雇用契約自体を出向先と結ぶので、別の関連企業に異動するというイメージになるでしょう。そのほか、雇用期間についても大きな違いがあります。派遣の場合、派遣先企業で就業する期間が最短31日以上と定められています。
さらに、同じ派遣先企業で3年以上働かせることも原則は禁止されているのです。仮に3年以上働いてもらいたい場合は無期雇用派遣として受け入れる方法、または派遣元との雇用契約を解除したのち、実際に就業する企業と直接雇用を結ぶ方法を取らなければなりません。
一方、出向の場合は法律による期間の定めはありません。とはいえ、永続的に出向という扱いも現実的ではなく、一般的には各社それぞれルールを設けていることが多いでしょう。たとえば、出向期間を半年間や一年間と定めていることがほとんどです。また、出向の場合は期間を延長したり、短縮したりすることも可能なので、派遣よりは柔軟性が高いといえるでしょう。
そのほか、労働時間についても違いがあります。派遣の場合は基本的に派遣元企業の就業規則に則って、労働時間や休憩時間、さらに有給休暇の管理が行われます。ただし、派遣元企業と派遣先企業との取り交わしによって、労働時間や休憩時間を派遣先企業に合わせることが一般的です。ただ、有給休暇や給与条件についてはあくまでも派遣元企業の基準で管理されます。
一方、出向の場合は在籍出向か転籍出向かによって運用が異なります。在籍出向の場合は出向元企業が給与の支払いや有給休暇の管理を行います。とはいえ、実際に就業する場所は出向先なので、労働時間や休憩時間については出向先のルールに従うことが一般的です。
そして、転籍出向の場合は出向先企業と雇用契約を結んでいるので、労働時間や休憩時間の管理だけでなく、給与や有給休暇の管理も出向先が行います。それぞれに法律の違いや各社のルールの違いがあります。ただ、いずれの場合も自分が属しているところとは別のところで働くというのに違いはありません(在籍出向の場合)。
そのため、基本的には実際に働く場所の環境やルールに合わせる必要があります。もちろん、なにかトラブルが発生した場合は自分が所属しているところに相談して解決してもらうのがよいでしょう。そのため、近年は専任のアドバイザーやコンサルタントが常駐している企業も多く、比較的働きやすい環境が整っているといえるでしょう。
まとめ
昨今はさまざまな働き方が広まっており、自分に合った働き方を選べるようになっています。中でも派遣などの新しい形式で就業する人材が増えつつあるでしょう。今回は派遣と出向の違いやそれぞれの特徴について紹介しました。それぞれ、雇用契約や労働時間、さらに雇用期間などの大きな違いがあります。さらに、派遣の場合は最低雇用期間や最長雇用期間が法律で定められており、派遣制度を採用する場合は法令順守を徹底しなければなりません。そのほか就業についてトラブルが起きないようにするために、実際に働く場所のルールを確認したうえで仕事に従事することが大切です。