派遣先企業でハラスメント被害にあった場合はどうすればいい?
派遣先企業でハラスメントを受けたけどどう対処すればいいかわからないと悩んでいませんか。ハラスメントには、パワハラ、セクハラ、モラハラなどの種類があります。ハラスメントの種類に限らず、しっかりと証拠を集めて適切な対処をすることが大切です。本記事では、派遣社員がハラスメントにあった場合にすべき対処をメインに解説します。
ハラスメントの種類
パワハラ、セクハラ、モラハラはいずれも職場での不適切な行為を指しますが、それぞれに明確な違いがあります。
パワハラの概要
パワハラ(パワーハラスメント)は、職場内で地位や権力を利用して嫌がらせを行うことです。
これには、殴る・蹴る、侮辱・暴言、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害が含まれます。パワハラは通常、上司や先輩が部下や後輩に対して行いますが、地位に関係なく発生することがあります。
セクハラの概要
セクハラ(セクシャルハラスメント)は、職場において性的な言動や関係の強要を指します。
これには、対価型セクハラと、環境型セクハラが含まれます。具体的には、性的な冗談やからかい、業務に必要のない身体接触などが該当します。セクハラの加害者は主に男性ですが、女性からのセクハラも存在します。
モラハラの概要
モラハラ(モラルハラスメント)は、倫理や道徳に反する精神的な嫌がらせを指します。
具体的には、暴言や侮辱、陰口、無視、誹謗中傷、プライベートへの干渉、仕事の妨害などが含まれます。モラハラはパワハラやセクハラと重なる場合もあり、周囲や被害者が気づきにくいこともあります。加害者は男女に関係なく、役職に関わらず存在します。
ハラスメントの証拠集めの方法
パワハラ、セクハラ、モラハラの被害を受けた場合、証拠集めが重要です。
なぜなら、第三者に相談する際にあなたの言い分だけでは信じてもらえない可能性が高いためです。客観的な証拠を集めることで、より説得力のある説明が可能となります。以下に、証拠集めの具体的な手法を紹介します。
ボイスレコーダーによる録音
職場でのパワハラやセクハラ、モラハラ行為が発生した場合、ボイスレコーダーを使用して録音することが有効です。
また、スマートフォンのICレコーダー機能も利用できます。録音する際は、日時や状況も一緒に記録することが重要です。これによりあとで証拠を整理しやすく、相談時に状況を説明しやすくなります。また、ハラスメントの発生日時やその期間を特定するのにも役立ちます。
メールやSNSの記録
ハラスメントの内容がメールやSNSで行われている場合、すぐに保存することが重要です。
メールの場合は削除せずにそのまま保存し、SNSの場合はスクリーンショットを撮影して保存します。相手が書き込みを削除する前に証拠を残しておくことが大切です。メールやSNSの内容は、データとして保存するだけでなく、紙にプリントアウトしておくとさらに安心です。
医師の診断書
パワハラやセクハラ、モラハラの影響で体調を崩した場合は、医師に診断書を依頼しましょう。
暴力によるけがや精神的な影響でうつ病になった場合など、診断書はその影響の大きさを証明する手段になります。
日記や業務日報
日記や業務日報に、発生したハラスメントの内容や日時を詳細に記録することも有効です。
具体的に何をされたか、何を言われたかを記録しておくことで、記憶に頼らずに証言の信頼性を高められます。新鮮な記憶で詳細に記録しておけば、証拠価値が増します。被害に遭った直後に内容をメモに残すと良いでしょう。
ハラスメントにあった場合にすべき対処
パワハラ、セクハラ、モラハラの被害にあった場合、一人で悩まずにまずは派遣会社の苦情処理担当者に相談することが重要です。
派遣元には、派遣社員を守り、派遣先企業に対して適切な対応を行う義務があるからです。加害者や派遣先企業に直接掛け合うと、被害がさらに悪化する可能性があるためおすすめできません。
相談の際の準備
相談する際には、事前に証拠を準備することが大切です。
証拠を持参することで、あなたの言い分を具体的に説明しやすくなります。ただし、派遣会社の中には、派遣先企業に対して強く対応できない苦情処理担当者もいるかもしれません。こうした場合には、次のステップとして公的機関や専門家に相談することを考えましょう。
軽度のセクハラへの対応
軽度のセクハラについては、相手にセクハラをやめてほしいと伝えることで、改善が期待できる場合があります。
また、セクハラをやめなければ別の手段に訴えると伝えることも有効です。相手が自分の行為がセクハラであると認識していない場合、この方法が効果的です。しかし、交際の強要や身体的な接触などの深刻なセクハラの場合には、直接の訴えが逆効果になる場合もあるため慎重な判断が必要です。
法的対応の検討
もし派遣会社や公的機関に相談しても改善が見られない場合は、法的に訴える選択肢もあります。
加害者だけでなく、対応を怠った派遣元や派遣先を訴えることもできます。しかし、裁判所での手続きには手間と費用がかかるため、まずは弁護士に相談がおすすめです。
派遣契約の解除
パワハラ、セクハラ、モラハラを受けた場合、派遣契約期間中でも契約解除が可能です。
相談しても職場環境が改善されない場合は契約違反となり、契約解除の理由として認められます。契約解除により、自己都合退職ではなく会社都合退職として扱われるため、雇用保険の失業給付を受けられます。
ただし、受給には退職前の1年間に通算で6か月以上の被保険者期間が必要です。また、失業給付を受けずに新たな派遣先を紹介してもらうことも可能です。
まとめ
派遣先企業でハラスメントを受けた場合は、一人で悩まずに派遣会社の苦情処理担当者に相談することが重要です。それ以外にも法的に訴える選択肢もあります。相談する際は、被害の証拠を集めてどのようなハラスメントか説明できるようにしましょう。ボイスレコーダーで録音することも有効です。相談しても職場環境が改善されない場合は、派遣契約期間中でも契約解除が可能です。